飛騨高山
先日、少し遅い夏休みをいただき 飛騨高山へ足を延ばしました。
写真は キタニさんのショールーム・工場等のある敷地の一部にある、フィン・ユール邸(再現)です。





飛騨には木製家具を製作・販売する家具屋さんがたくさんあります。今回訪れた家具屋さんもすべてショールームに工場が併設され、木材を仕入れ、寝かせ、加工、塗装までの工程を一貫して行うところが多くありました。
1軒の住宅も、木の仕入れからはじまり顔の見える関係性で住まいをつくりたいと、思うことが多いです。そのようななか、設計事務所の存在というのは、どこか根無し草のようで、施工会社が決まってようやくどこを経由して木を仕入れるかが決まります。地元の天竜材であってもそれは同じで、そういうルートを少しずつ変えていけたらいいなと考えています。
旅の振り返り、やや回顧録的になりますがよかったらお付き合いください。
今回まわった家具屋さん
フィン・ユール邸を敷地内に持つ キタニ は北欧家具の特許を持つ製品と、それに合うオリジナル家具を手掛ける家具屋さん。フィン・ユール邸も敷地内につくってしまうその情熱は素晴らしい。ショールームでは椅子の座面の中身が、ポリエステルのクッション材か、動物の毛や植物のクッションかを見分けるコツを教えていただきました。もちろん、フィン・ユール邸も拝見。窓の取り方、白い壁と風景の展開、室内のゆるやかな空間の繋がりのある建築と素晴らしい家具たちを堪能しました。
その後の家具ショールームではそれぞれの家具屋さんの歴史も展示されていました。キタニから最も近い柏木工はウィンザーチェアを作るところから始まったそう。
日進木工では、ウィスキーの樽も作っているとか。また様々な家具デザイナーとの家具開発をされており、個人的には川上元美さんの小物に久しぶりに会えたこと、社内デザイナーによるという「SOLA」 松岡智之さんデザインの「CHORUS」シリーズはデザイン・座り心地ともにとても良かったです。岡村 孝さんの「OM50」もしっかり体験できました。ファクトリーツアーもされているとのことで、また是非参加をしに来たいなと思いました。
いいなと思っても座り心地がよいかどうかは人それぞれだったりするのでショールームですべて確認ができたのはとても貴重でした。
近くのブナの木を使うためにト―ネットの椅子のように曲木で椅子をつくることから始まったという飛騨産業は、ショールームの家具展示に加え、木や家具を紹介する展示がすばらしく、杉を圧縮し、4倍の強度を持たせた家具などの取り組みも、大変興味深かったです。
座り心地とデザインの好みは、川上元美さんの「SEOTO」シリーズ。そのほかに、各家具屋さんとも、タタミで使える椅子をいくつも取り揃えており、飛騨産業 原 研哉さんデザインの「SUWARI」が小ぶりで、畳コーナーのような小さな空間にも置いておけそうで、座り心地もとても良かったです。三澤遥さんの椅子も展示されており、実際に座ることができました。



そのほか、輸入家具と自社家具を組み合わせクライアントのニーズに合う価格帯で販売することを得意とする、技術力も高い第一産業さん、柏木工さんも訪ねました。
2日目は、日下部家と吉島家を訪れました。日下部家の隣の吉島家は、ウェブサイトではお休みとのことでしたが、営業されており、見学をできました。
そしてこの吉島家がとっても良かったのです。久しぶりに余韻のある建築を見ました。
エントランスから入るとまず高い天井のある土間に迎えられます。


そこから奥は水平の拡がりを感じられる優雅な座敷と、奥には立派な杢目の建具をしつらえた書庫があります。


2階は少しずつ段を上がり体の向きを変え最後は行き止りなのですが

その先にこぢんまりとした庭の緑がある

建物の中の空間の展開も素晴らしいのですが、空間構成要素一つ一つの根底に流れる美意識が粋と表現したらよいのでしょうか。・・ただ豪華絢爛というのではなく、作り手と住まい手の高い美意識が完全に合致してできたものなんだろうなと、また実際にそのようでした。

その後、やわいや へ寄って帰りました。わからないままの民藝 を読んだことをブログに書いたのは1年以上前ですが、かねてから行きたかった場所の一つをようやく訪れることができました。

この地方の屋根はどこも美しく、精悍な佇まい。豪雪によるものと思いますが、妻側が通常より出ていてバランスが良い。美しい日本の風景の名残がまだ残っていることに、少しほっとしました。

